注文住宅と価格の妥当性を総予算と維持費で考える

注文住宅とは何か

注文住宅とは

注文住宅というものは本来、間取りのプランニング・設備・資材などすべて建築主の希望のものを採用して作られる住宅です。しかし実際には、資材は建築メーカー指定のもので、選べる設備にも制限があることがほとんどではないかと思われます。

メーカーの場合はほとんど標準仕様が決まっており、間取りを選ぶというイメージに近いのではないでしょうか。しかし、それでも建売でなければ、注文住宅といわれることが多いようです。規格住宅であるものの、多少の間取り変更が可能な住宅というほうが正しいという気もします。

もちろん準耐火構造にしたい、長期優良住宅にしたいなどという希望によって資材に制限がかかったり、間取りに制限があったりするのはやむを得ないと考えられますが、本当にこだわりの注文住宅を建てたいのならば、標準仕様のあるメーカーでなく、一からプランニングしてもらえる業者がいいでしょう。

標準仕様があるのは注文住宅ではない?

なぜ標準仕様がある場合はこだわりのある注文住宅が作れないのでしょうか。「標準仕様から変えてグレードアップすることもできますので、なんでも可能です!」とメーカーの営業マンからは言われるのではないかと思います。

しかし標準仕様が決まっている住宅は「業者からメーカーへの卸値」が破格である可能性が高く、仕様変更した場合に元々の価格がほとんどマイナスされず、高額な追加費用が発生することが多いのです。

たとえば我が家は標準仕様が充実したメーカーで建てたのですが、見積明細書がなかったため標準設備での個々の金額がまったくわかりませんでした。そのため外壁のアクセントとなる部分のサイディングをランクアップした際も、ただ5万円弱ほどの追加費用を提示されただけでした。

結局、それ以外は標準仕様からほとんど変えずに立てたので追加費用はたいした額ではありませんでしたが、標準仕様は建築主から自由を奪います。標準仕様がすべて気に入っているのならともかく、部分で拘りたい人は初めから標準仕様のない業者を選ばないと注文住宅として満足に値するものはできないのではないでしょうか。

注文住宅の価格帯

注文住宅にかかる費用例

注文住宅にかかる諸費用は物件価格の5%程度だと言われますが、以下の諸費用のほかに地盤改良費や外構費用、引越し費用・火災保険料なども想定しておくと考えると15~20%は想定しておいた方が賢明です。

▼建築請負契約時にかかる費用
・建築確認申請費用:5~20万円
・印紙税:1万円(契約額が1,000万円超5,000万円以下の場合)

▼上棟時費用
・地鎮祭費用:6万円程度(玉串料・お供え・テント費用など)
・上棟式費用:10万円前後(差し入れ・酒代・ご祝儀など)

▼登記費用・抵当権設定費用
・建物表題登記:8~10万円(土地家屋調査士報酬)
・所有権保存登記:2~3万円(司法書士報酬)
・抵当権設定登記:3~5万円(司法書士報酬)
・土地を購入した場合の土地の所有権移転登記:3~5万円(司法書士報酬)
・建物登録免許税:建物評価額の0.3%
・土地登録免許税:土地評価額の1.5%
・抵当権設定時登録免許税:債権額の0.1%
(登録免許税はいずれも2017年3月末までの軽減措置)

▼住宅ローン費用
・契約時印紙税:20,400円
・保証料:借入額の2.1%程度(個人により異なる)
・事務手数料:3~5万円

▼税金
・初年度土地固定資産税:評価額の1.4%
・初年度土地都市計画税:評価額の0.3%
(売主と相談)

注文住宅の購入平均資金

国土交通省による平成26年度住宅市場動向調査の結果では、注文住宅購入資金の平均は4,029万円となっています。上表の通り、購入世帯の平均年収は変わらないか低めにもかかわらず分譲戸建住宅や分譲マンション、中古戸建住宅や中古マンションなどと比べて圧倒的に高くなっています。それだけ注文住宅にこだわる人が多いということなのでしょう。

土地の取得方法は購入が63.3%と最も高く、後は相続や贈与、無償で借りていると続きます。土地代金を省いた建物価格のみの平均は3,007万円、土地から購入して注文住宅を建てた世帯の購入代金全国平均は4,227万円となっています。土地購入代金の平均は全国では1,373万円ですが、三大都市圏では1,678万円とやはりかなりの割高になるようです。

そこまでの費用をかけて建てるのですから、やはり納得できる住宅にしたいですね。

注文住宅価格|坪単価の相場

平成26年度の国土交通省調査によると、注文住宅の延べ床面積全国平均値は128㎡、約38.72坪となっています。前述の「注文住宅建物価格の全国平均値」3,007万円を38.72坪で割ると、坪当たりの単価は77.66万円となります。大手住宅メーカーの値ですね。それほど大手メーカーで建てる人が多いのだと考えられます。

大手ハウスメーカーの坪単価は70~80万円と言われています。中堅メーカーで60万円程度、工務店などで50~60万円、45万円未満だとローコストメーカーと言われるようです。個人的には、現在のわが国の平均収入などから考えると、この「77.66万円」という値は高すぎると考えています。

場合によっては、一生かけて支払っていくことになるかもしれません。本当に日本の住宅は低寿命なのに高いです。ここまで高いのなら、一生メンテナンスなしで住める家を作ってほしいと思います。

収入から見た総予算の立て方

家の予算はいくら借りられるかではなく「いくら返せるか」で考えましょう。現在の家賃から考えるのが妥当です。繰り返しますが、総予算は物件価格の2割で計上しておくのが賢明です。その合計額が総予算の上限と考え、自己資金や借入期間、金利の選択と合わせて住宅ローン借入額を考えましょう。

下表は全期間固定2%、借入期間30年とした場合の家賃程度(ボーナス払いなし)の返済で借り入れられる額と総支払額の想定になりますので参考にしてみてください。

注文住宅価格を依頼先別に比較

大手ハウスメーカーは高すぎ?

大手ハウスメーカーの坪単価は70~80万円台だと言われています。注文住宅を建てる人のほとんどが、住宅展示場を訪れて大手メーカーで契約をしているそうです。なるほど、わが家の周りも半数以上は大手ハウスメーカーの家です。

しかし私自身、大手ハウスメーカーの家も見に行き工場見学にも行きましたが、使っている資材が工務店より特に優れているわけではないと感じています。ちなみに大手メーカーの入居者宅訪問もさせていただきましたが、広さも内装もやはりモデルハウスとは違い実際に暮らす家に近いので参考になります。これはできればするべきだと思います。

構造材は大差ないように感じますが、内装材においては工務店のほうが高品質のように感じられます。もちろん住宅展示場モデルハウスのオプションだらけの家などなら大手メーカーのほうがはるかに豪華ですが…。

一部の工場生産メーカーは施工にムラがないのが長所だということでしたが、その分期間もコストも削減できるはずなのに低価格になるわけではないようです。質が悪いと言っているのではなく、価格が高すぎるのではないかと個人的には感じています。

大手メーカーが高価格なのは、全国に多数ある住宅展示場のモデルハウスの維持費や莫大な広告費、豊富なイベントなどの費用が上乗せされているためだそうです。工務店でも大手メーカーよりはるかに上質な家を作ってくれるところもたくさんあります。

個人的には大手メーカーの家の長所はブランド力と、売却する際に多少付加価値が付くことくらいではないかと考えています。「上質だから」だとはあまり思えないのが正直なところです。ただ外壁が総タイルの家は将来的なメンテナンスコストはかなり抑えられるでしょう。

ローコストは維持費が心配?

だからと言ってローコスト住宅と大手メーカーの家が同程度かというと、それも一概には言えないと思われます。ローコストメーカーはモデルハウスなどが少ない分そういった費用が上乗せされることはないですが、宣伝広告費・人件費がかからない以外にもどこかに安い要素があると思われます。

最も考えられるのは人件費です。ローコストメーカーは、営業・設計・技術などに兼務が多いのではないかと考えられます。その分ひとつひとつに対してのフォローが大手ほど行き届かないのではないでしょうか。また工期が短いことも挙げられます。工期が短ければ、その分人件費が削減できることは大きいでしょう。

例えばローコストメーカーの代表格である秀光ビルドもサッシは大手と同じ複合樹脂サッシに複層Low-eガラスが標準ですし、断熱材は発泡ウレタンフォームで、材料としては大手より優れたものになっています。長期優良住宅にも対応しており標準でも耐震等級は2、メンテナンス等級は3となっていて大手と遜色ないとも思えます。

ローコストは見た目が豪華な分、構造材・断熱材やサッシなどが安いという意見もありますが、個人的には逆だと思っています。個人的には大手ハウスメーカーのほうが見た目の豪華さにこだわっていると感じられます。それが証拠に、大手ハウスメーカーのほとんどは、最も断熱性に影響すると言われる窓の断熱に気が配られていません。

内部については大手もローコストもさほど差がなく感じられますが、大手メーカーの家とローコストメーカーの家ではまず外観の高級感が違います。具体的に言うと外壁のランクではないでしょうか。大手はサイディングにしても少し高級感のあるオリジナル外壁を持っていることが多いようです。またパナホームのようにオリジナルの光触媒タイルを持っているのは魅力ですね。

外壁に関しては「ニチハやケイミューなど大手の外壁だから安心」と一概に言えるわけではないようです。厚みやコーティングによって塗り替えコストなどが大幅に変わってきますし、継ぎ目のシーリング材の品質によってもメンテナンスサイクルが変わってきます。

ただどんな家でも住んで10年ほどは目立った劣化は見られないことが多いですが、年数が経過するにつれメンテナンスコストをかけないと快適さを維持できないのではないかと思われます。大手メーカーは60年保証など保証面が充実していますが、ローコスト住宅は10年保証が一般的です。

ただし、大手メーカーの長期保証も「メーカー指定業者によるメンテナンスを行うこと」を前提としていることが多いため一概にお得とも言えない部分もあるようです。ただ長期優良住宅などはこういった定期メンテナンスが必須となるため、ある意味定期的なメンテナンスが長寿命住宅の秘訣なのだとも言えます。

断熱性能や耐震性能についてはローコストメーカーでも基準を満たしています。要は、強制的にメンテナンスするか放置するかの違いではないかと思われます。

注文住宅を賢く建てるには

こだわって建てたいなら標準仕様がない業者へ

標準設備の充実は追加費用が抑えられて低コストだと考えられますが、その分こだわりたい部分(オプション)に対する追加費用が高額だと認識しておきましょう。低予算で標準設備が多い住宅ということは、その設備の卸値が大量仕入れのため格安だということです。

そのため標準以外のものを選択したい場合に、業者によっては定価相当の追加費用を取られる場合があります。たとえグレードを低くしても、です。標準設備でほぼOKの場合はいいのですが、注文住宅ですから床材を変更したい、設備をグレードアップしたいなど必ず出てくると思われます。

そういったこだわりが多いのであれば、初めから標準仕様がない業者にしておいた方が無難です。工務店などなら臨機応変に対応してもらえることが多いでしょう。建てたい業者がある場合には、先に設備の標準を確認して置き、契約前にグレードアップ後の見積をもらうようにしましょう。

維持費用まで考えてくれる業者なら信頼できる

建物の維持費用まで考えてくれる業者なら信頼に値すると考えています。個人的に知った範囲で、こうしたことを丁寧にWebなどで説明してくれている工務店は姫路の「クオホーム」さんだけしかありませんでした。こちらはわが家の場合建て始めてから知ったので残念だったのですが、先に知っていたらぜひお願いしたかったです。

対応エリアに入っていないと思うので無理だったかもしれませんが、兵庫県にお住まいの方ならかなりおススメだと思われます!光熱費に影響する窓、メンテナンスコストの高い外壁、ベランダ防水仕様などに対する考えが素晴らしいです。

他の地区にお住まいの方は、こういったように維持コストに対して真摯に考えてくれる業者を探してみましょう。

注文住宅の価格まとめ

注文住宅の価格についてまとめてみましたが、なかなか難しいことも多いと思われます。家は買ってからも固定資産税や都市計画税、修繕費用などたくさんの費用が発生します。また住宅ローン金利だけで1千万円以上になってしまうことも。

建築業者によっては、年収で借りられる上限額までの予算を勧めてくる場合もありますので、借りられる額ではなく「返せる額」で考えなければローン破綻に陥りかねません。必ず物件価格ではなく総予算で、維持費用も月々2万円は積み立てると考えて計画しましょう。

妥当性を見極めるには、総予算で買える中でどこまで維持費のかからない家を建てられるかです。予算に余裕があるなら大手メーカーで建て、10年ごとにメンテナンスするのもいいでしょう。予算がなければ、ローコストメーカーでこだわりたい部分だけチョイスするのも手です。

ただこだわりたい部分が多いのであれば、標準仕様のない好きに選べる業者を選ぶのが一番良いと思われます。結果的にローコスト住宅ほど安くならないと思われますが、大手メーカーでオプションだらけにするよりはるかに低予算で済むと思われます。

せっかくの注文住宅なので、後悔のない家をできる範囲で建てられるといいですね。

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